こじらせ女子と呼ばれる女

親友から「こじらせてる」と言われた理由。嫌な女全開で語る

か細いか細い大黒柱〜コロナウイルス下で入院するという意味〜

「こじらせ女子」と呼ばれる女、ねこです🐾

 

【一家の大黒柱】

家の中央にある特別に太い柱のように一家の支えとなっている人。

 

 

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実家で介護していた父の体調が悪化し、

私は父を救急病院へ連れて行った。

1度目は看護師さんからとんでもない対応を受けたが、

2度目は迅速な対応をしてくださった。

 

父の容態は危険な状態と判断され、

緊急入院すべきという判断がドクターから下された。

ただでさえ、危険な状態に加え、

新型コロナウイルス下なので」

と様々なリスクが伝えられた。 

www.kojisaseneko.work

 

どうしてこのタイミングなのか。

この新型コロナウイルスのタイミングでなければ、

父にもっと良い環境で治療に専念してもらえるのに、、

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こんなことを言っても意味はないが、

こんな思いが頭の中をグルグルと駆け巡った。

 

私の選択肢は2つ。

●入院して治療を開始すれば、すぐに亡くなるリスクは高く、回復しても元の生活には戻れない。

会えるのもこれが最後かもしれない。

いろんな意味で低い確率でも、助かる可能性にかけて緊急入院をさせる。

 

●入院させずに家に連れて帰れば、1週間はもたないかもしれないが、家族で一緒に過ごす。

もしかしたら助かるかもしれないという願望にかけて入院させない。

 

どう考えても、私の答えは前者だった。

新型コロナウイルスのせいで、

本来なら、ならなくてもいい状態にはなってしまうかもしれない。

でも、必ず悪い結果になることが決まっているわけではない。

低い確率でも、入院して治療させた方が回復の見込みは少なからずある。

助かるかもという願望や低い可能性ということで全てを諦めて、目の前にある現実的に助かる可能性を選ばないなんて、私にはできない。

その治療が父の寿命をさらに縮めてしまうことになるとしても、

私は諦めることは選択しない。

 

私はこの診断を父や母には言わず、1人で結論を出した。

そして入院手続きが始まった。

入院手続きの書類を持ち、

今度は父と母が待つ処置室へ向かった。

父は意識があり、ベッドの上で母と話していた。

 

🚹ねこちゃん遅いね。

もうここにいてもしんどいから早く家に帰りたい。

 

🚺2.3日入院させてもらったら?

帰るって言っても簡単には帰れないわよ。

ここに来るのも大変だったのに。

 

🚹家で寝てたら治るから、

早くねこちゃんの車に連れてって。

 

この会話を聞いて私は泣きそうになった。

 

父は大の病院嫌い。

自力で生きれるギリギリの状態ということは

もちろん父はしんどいはずだ。

なのに当の本人は帰りたいと願っている。

その願いを私は叶えてあげる選択をしなかった。

母も入院自体を軽く考えている。

私は私の判断で低い確率にかけ、

今から父を入院させようとしているが、

何も知らない2人は呑気に的外れの会話をしている、、、

これが最後の別れになるかもしれないのに、、、

 

いろんな気持ちが込み上げてきたが、ここで泣くわけにはいかない。

私がしっかりしなくては。

私は2人から少し離れた場所で入院手続きの書類の準備をし始めた。

 

入院手続きも新型コロナウイルスの影響でいつもとは少し違った。

病院側としては入院患者の家族といえども

極力、外部との接触は避けたいとのことで、

今後のやりとりは電話になるとのことだった。

万が一のときに必要な処置の同意書も接触を避けるため、あらかじめサインして帰るように言われた。

最悪の場合に備えての同意書に私はたくさんサインをした。

病棟内にウイルスを入れないために、

着てきた服や持ち物を一切病棟には持って入れないと言われた。

時計なども持たせることができなかった。

新型コロナウイルス対策下の入院とはこういうものなのだと知った。

 

事務手続きが終わり、父も入院準備に入った。

点滴の準備が始まると、

父は帰りたいと一層強く言い始めた。

母は

「今日は入院してもらった方が安心だわ♪

こんな状態でおうちに連れて帰れないもの。」

と軽く返してきた。

病院嫌いの父は納得せぬままだった。

そんな父を母は叱っていた。

そんな光景を見て、私はまたもや泣きそうになった。

 

これがもし、生きている父との最後になるなら

こんな別れ方をしてもいいのだろうか。

お互いちゃんと話したいことがあるのではないか。

これがもし最後になるなら

言わなかったことをそれぞれ後悔しないだろうか。

 

そんな考えが頭の中をグルグルと駆け巡った。

でももし私がここで話してしまえば、

父も母も落胆するだろう。

父は治療を頑張る気力を失うかもしれないし、

間違いなく母は泣いて笑顔で父を見送れないだろう。

軽い入院の気持ちでここは笑顔で見送ってあげたい。

 

もし最後になるなら

 

こんなわからないことを考えてもどうにもならないし、先のことなんてわからない。

今私にできることは父を安心させて入院させることだ。

新型コロナウイルスのせいで面会できないから

今言いたいことをお互い話すように」

と私は2人に促し、入院を嫌がる父を笑顔で見送った。

 

家に帰ってから私は母と姉に父の状態を話した。

(話に一切出てきてないが私には歳の離れた姉がいる。

仲は良いがいろんな意味で説明は割愛。)

 

「どうして入院させたの‼︎

家で過ごさせてあげた方が良かったんぢゃないの‼︎

今すぐ死んぢゃうかもしれないなら、

ここで1週間でも一緒に幸せに過ごした方がパパにとったら良かったんぢゃないの。

どうしてこんなことになっちゃったの。

どうしてコロナのときにパパがこんなことになったの。」

と姉は大泣きしながら私を責めた。

 

「ねこちゃん変なこと言うわとは思ってたけど、

そんな素振り一切見せないから、

そんなことになってたのママ気づかなかった。

入院してそうなっちゃったら仕方ないわよね。」

と呑気な母は淡々と思いを述べた。

母はまだ受け止め切れていないのだろう。

言葉とは裏腹に泣いていた。

 

そんな2人を前に、私は泣けなかった。

私がしっかりしなければ、

この家の舵取りはうまくできない。

 

この日も入院させると決断したときにドクターから言われたのだ。

 

「次女さんにお話して良かったです。

本来は奥様にお話することかもしれませんが、

今までのご様子や対応した看護師とも話した結果、

次女さんにお話した方がいいと判断しました。

次女さんが決断するのは辛いとは思いますが、

状況を理解されてるので安心しました。

私たちもお父様を助けられるように精一杯頑張ります。」

 

父に介護が必要となってから、

私には幾度となく、こうして家の舵取りをする役目が回ってきた。

病院でも区役所でもいつも名指しで私が呼ばれるようになった。

か細いか細い一家の大黒柱。

私が家族と父の未来を決める重さ。

今までこうやって父は1人で家族の未来を背負ってきたのだと父親の偉大さを感じている。

 

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